No27ひきこもり家族教室〜第1回ひきこもりを知る

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👉 No26. 引きこもり家族教室
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今週から、今年最後の月である12月が始まりました。
振り返ってみると、これまで静かに流れていた時間が、ある時を境に急に激しく動き出し、翻弄された一年だったように思います。

始まりは次男の体調不良でした。
そして最後の税務職員採用試験の不合格。そこからさらに体調が悪化し、外出することさえできなくなってしまいました。病院を受診しても「異常なし」と言われるばかりで、原因がわからないまま、苦しい日々が続きました。

次男も、私も、先の見えない八方塞がりの状態でした。
それでも、このままではいけないという思いで、次男は心療内科へ、私は精神保健福祉センターへと、それぞれ救いを求めることにしました。

センターへ電話をしたところ、すぐに「ひきこもり家族教室」への参加を勧められました。第1回目の講義は、センターの所長である精神科医の先生によるもので、「ひきこもりの定義」や「ひきこもる原因」についてのお話でした。

その中で最初に強く心に残ったのは、
「本人にとって安全で安心できる場所、そして信頼できる人をつくることが大切である」
という言葉でした。

次男が不登校になった頃のことを思い出しました。思春期による気分の不安定さ、控えめな性格で言いたいことを言えないストレス…そのはけ口としてゲームにのめりこみ、やがて朝起きられなくなっていきました。

担任の先生が何度か家庭訪問をしてくださり、同級生も訪ねてきてくれましたが、次男は心ここにあらずといった状態で、誰とも会おうとはしませんでした。ひたすら自分の部屋にこもり、布団の中で過ごす日々が続きました。

今思えば、あの部屋こそが、次男にとって「安全で安心できる唯一の場所」だったのだと思います。

また、「心を許せる場所があると、ひきこもりが長期化することはない」という話を聞き、少しだけ気持ちが軽くなりました。次に「信頼できる人」の存在を考えたとき、困った時には主人に連絡を取っていることを思い出しました。父親の存在は、次男にとって大きな支えになっているのかもしれません。

次の段階として大切なのが「早期支援」です。
長期間のひきこもりは、心身の健康を損なうだけでなく、本来得られるはずだった社会経験や成功体験を失わせ、自信を奪い、さらに外に出づらくするという悪循環を生むそうです。

次男の状態は、まさにその言葉どおりだと感じました。
初期の段階で相談に行ったこともありましたが、目立った成果がないまま、気づけば6年以上の月日が過ぎていました。「もう立ち直ることはできないのではないか」と思うことも、正直ありました。

それでも今回、もう一度「支援を求めてみよう」と思えたこと。
そのこと自体が、今の私にできる最善の選択なのだと感じています。

講義では、ひきこもりには大きく分けて
「充電期」「安定期」「活動期」
という3つの段階があることも教えてもらいました。

明確な区切りがあるわけではありませんが、次男は心療内科に通い、薬の服用を続けることで夜に眠れるようになり、昼夜逆転の生活から少しずつ抜け出しつつあります。

また、3回目の簿記試験は不合格ではありましたが、これまででいちばん長く机に向かい、「よく頑張った」と思える姿がそこにはありました。

そのことから、次男は今、「安定期」に入り始めているのではないかと感じています。ただ、まだ入り口に立ったばかりで、「活動期」に進むには、かなりの時間が必要でしょう。

簿記の結果が出たあと、主人が「もっと上の級を目指したらどうか」と話したそうです。すると次男は、「2級でもこんなに大変なのに、これ以上は無理。それより、体調が戻ったら職業訓練ができる場所に行きたい」と答えたと聞きました。

その言葉を聞いたとき、私はとても驚きました。
ただ現実から逃れるためにゲームをしているのだと思っていたのに、次男は自分なりに「その先の現実」と向き合おうとしていたのです。

講義の中で
「進路や方向性は、親ではなく本人が決めることが大切」
と言われていましたが、その意味を、身をもって実感する出来事でもありました。

今回、第1回目の講義を受けて改めて強く感じたのは、ひきこもりの段階によって、家族の関わり方はまったく違うということです。

6年前、不登校になったばかりの頃。次男はまだ「充電期」にあり、本当は何よりも「見守ること」が必要だったのかもしれません。しかし高校受験を目前にし、「学校へ行ってほしい」という気持ちから、知らず知らずのうちにプレッシャーをかけてしまっていたように思います。

見守っていたつもりでも、今振り返れば、どこかで諦め、突き放してしまっていた部分もあったのかもしれません。それでも次男は、ゆっくりと安定期へと進み始めてくれました。

体調がさらに落ち着けば、いつか活動期に入れる日も来るでしょう。
ただ、6年という長い不規則な生活の影響は簡単には消えません。元の状態に戻るには、相当な時間がかかると思います。

それでも私は、もう「完全に諦める」という選択だけは、したくありません。

ひきこもりについて正しく知り、段階を理解し、今の次男に合った関わり方を学びながら、2回目、3回目と、この家族教室にできる限り参加していこうと思います。

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