No7.18歳、選挙を迎えて

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📘 前回の記事:No6. 社会にふみだそうとして

次男が18歳になった年、私たち家族にとってひとつの節目が訪れました。

15歳で引きこもりが始まってから、3年。通信制高校に通いながらも、家でゲーム中心の生活を続けていた彼が、選挙権を得たのです。

全日制の高校であれば、選挙に関する授業や説明を受ける機会があります。でも、通信制ではそういったことはほとんどありません。年齢も通学スタイルもバラバラな生徒たちを対象に、一律の政治教育をするのは難しいのかもしれません。

政治や社会に関心を持っている様子はなく、
「近所の投票所に行くと知り合いに会うからイヤだ」と、最初は行くのを拒みました。

そんな中で、夫と私がめずらしく意見の一致を見せたのが、この時です。
「選挙だけは行ってほしい」と。
この願いは、親として心からのものでした。

私は期日前投票ができる会場を調べて、一緒に出かけました。
想像以上の混雑で私も疲れましたが、彼は静かに並び、黙って投票を終えました。

その姿を見たとき、胸がいっぱいになりました。
引きこもりの6年間で、彼が初めて「社会の一員としての行動」をしてくれた気がしたのです。

後日、何気なく「誰に投票したの?」と聞いたら、私たちの会話の中で出ていた候補者の名前を書いたとのこと。
表立って話すことはなくても、耳を傾けてくれていたのかもしれません。

もちろん、投票に行ったからといって何かがすぐに変わるわけではありません。
でも、あの日彼が書いた一文字は、「自分の意思で動いた」という、人生における確かな一歩だったと思っています。

来月にはまた選挙があります。
情報はネットでも自然と目に入るはずです。

息子たちを見ていて感じるのは、「未来」よりも「今どう過ごすか」に関心があること。
でも、そんな彼らにも、家庭の中で社会のことを話すことで、少しずつ何かが届いていくと信じています。

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