
📘 前回の記事:No12.「仕事になるとなぜか集中できない」ーそんな自分に気づいて
「身内の仕事」って、どうしてこうも緊張感がなくなってしまうんでしょうか。
「気の緩みがもたらした、たった一度の遅刻」
訳あって主人の仕事を手伝うことになったとき、私は「少しでも役に立ちたい」と本気で思っていました。
でもその気持ちは、1週間も経たないうちに薄れていきました。
事務所はふたりきり。主人は私より遅く出社することが多く、「少しくらい遅れても平気だろう」と、自分に言い訳するようになりました。
始業は9時。最初は間に合っていたはずが、5分、10分と遅れていき、気づけばそれが“当たり前”になっていました。
ある朝のことです。
いつもより少し遅れて事務所に向かうと、駐車場に車が1台止まっていました。
「こんな時間にお客さんが来るわけがない、違法駐車かな」と思いながら近づくと、中から顧問先の女性社長が降りてきました。
開口一番、こう言われました。
「9時30分からの始業ですか?」
私は返す言葉もなく、「いえ、9時からです」と答えるのが精一杯でした。
あとで分かったことですが、女性社長は9時前から事務所前で待っていてくれたそうです。
きっと「時間を守るのが当然」と思って訪ねてくださったのに、私はその期待を裏切ってしまいました。
後日、その女性社長から「顧問契約を解除したい」と連絡がありました。
10年近く続いていた信頼関係が、私のたった一度の遅刻で崩れてしまったのです。
でもこのことを、私は主人に言えませんでした。
「時間にルーズだった私の”言い訳”
25年間、私は家の中で育児や家事に追われながらも、実際には自由時間がたっぷりありました。
子どもが大きくなるにつれて、その時間はむしろ余っていき、私は次第に“自分の存在意義”を見失っていきました。
時間にルーズな性格もあって、「朝から洗濯・弁当・食事の支度をこなして9時に出社なんて無理」と、自分で自分に許可を出してしまっていたんです。
再び仕事を始めて1年。
最初は何もわからずとも、できるだけ理解しようと前向きに取り組んでいました。
でも慣れてきたころ、気が緩み、小さなミスが増えていきました。
会話の端々から、主人の信頼が少しずつ失われているのが分かりました。
心の中では、「何で私を雇ったの?」と主人も思っていたかもしれません。
私自身も、「私じゃなくてもいいんじゃないか」と、疑心暗鬼になっていました。
「”当たり前のこと”を取り戻すために」
この仕事では、信頼がすべてです。
だからこそ、私も守秘義務に関わるような情報を共有されています。
なのに、その信頼を自分の甘えで壊してしまった。
去年の年末から今年の春先までの繁忙期は、初めてのことばかりで、仕事が思うように進まず、締切の最終時間ギリギリまで働く日々でした。
でももう1年経った今、次の繁忙期に“言い訳”は通用しません。
「当たり前のことを当たり前にやる」——それが今の私の最大の目標です。
無職だったころ、夫婦喧嘩になると私はいつも「私が悪いわけじゃない」と不満ばかりを募らせていました。
でも今になって思えば、どれだけ自分勝手だったか、反省せずにはいられません。
「家族だから、これくらいは許される」——
そんな甘えが、自分をいちばんダメにしていた気がします。
年を重ねて、経験を積んだつもりでも、それだけで人は成長できるものじゃない。
謙虚に、誠実に、自分を律して生きていくことの難しさを、いま改めて感じています。
あなたには、家族との仕事や日常の中で、見逃してきた“甘え”はありませんか?
私と同じように、気づいたときには誰かの信頼を失っていた——そんな経験はありませんか?
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