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👉 No28. ひきこもり家族教室 〜第2回 家族の接し方〜
https://hikikomori-to-taiyou.com/no28-hikikomori-dainikai/
12月も下旬になり、1年をふり返る時期になりました。
今年は、次男がひきこもってからの6年間の中でも、特に多くの出来事があった年でした。次男の体調不良が深刻だった一方で、母と子、それぞれが次の段階に向けて小さく動き始めた年でもあります。
まずは私自身のことから。
出口の見えない次男のひきこもりに、わずかでも希望が欲しくて、6年ぶりに精神保健福祉センターへ電話をしました。本当は母親だけの個別相談を希望しましたが、予約はいっぱいで、面談日は3か月後の1月5日。
その間、何もしないのはもったいないということで、家族教室への参加を勧められました。今回がその最終回で、内容は元ひきこもり当事者による体験発表でした。
ひきこもりというと、本人も家族も表に出ることをためらい、周囲もそっとしておこうとするものです。そんな中で、当事者本人が自らの経験を語ってくれることに、驚きと同時に大きなありがたさを感じました。
お話をしてくださったのは、現在38歳のHさん。
事前に配布されたプロフィールに「母親とランチや温泉に行く」と書いてあったため、女性かと思っていましたが、実際は男性でした。息子が3人いる私にとって、母と一緒に行動する息子の姿はほとんど想像がつかず、親子関係にも本当にいろいろあるのだと考えさせられました。
Hさんは、ご自身の当時の状態を、コップの水にたとえて説明してくれました。
小学生の頃は満タンだったエネルギーが、中学・高校と進むうちに減り始め、大学卒業後には完全に空っぽになったそうです。その状態が長く続く中で、まず動いたのは母親でした。精神保健福祉センターにつながり、本人も大学卒業から12年以上経って、少しずつ一緒に通うようになります。
転機となったのは、アルバイトで「人の役に立てた」という体験ができたことでした。それをきっかけに少し自信がつき、それ以降は月に1回、ひとりでセンターへ行けるようになったそうです。同時に、空っぽだったコップに水が一滴ずつたまるようになっていきました。
現在はピッキングの会社にパートとして勤務し、休みの日には農作業の手伝いもしているとのことでした。
印象的だったのは、Hさんが将来について具体的な目標を語っていたことです。
正社員として働いて人の役に立ちたい、ひとり暮らしをしたい、バイクに乗っていろいろなところへ行きたい。次から次へとやりたいことが出てきて、ひきこもりはすでに過去の出来事になっているように感じました。うらやましいと思う反面、ひきこもりを経験した人が、これほどのエネルギーを使って前を向いて歩いていけることに、心の成長を感じました。
体験談を聞いた後、私は母親の存在がとても大きいことに気づきました。
精神保健福祉センターとつながったこと、人の役に立てたという自信が持てたこと。その背景には、母親が動いていた事実があります。もし母親が何もしなかったら、エネルギーが空っぽの状態は、もっと長く続いていたかもしれません。
安心で安全な場所を整え、見守ることを前提に、親が社会とつながるパイプ役になる。その大切さを、改めて実感しました。
これで家族教室はすべて終了しました。3回という短い時間でしたが、最後の体験発表は特に心に残りました。
正直なところ、これから何をすればいいのか、まだ分かりません。
希望を持てない日もあります。
それでも、何もしないまま時間だけが過ぎるより、迷いながらでも立ち止まらずにいたい。
それが、令和8年を迎える今の私の本音です。

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