
📘 前回の記事:No5. ”何もしない選択”をした息子と向き合った3年
次男は通信制高校を1年留年して卒業したので、同級生たちは今ごろ就職や大学院への進学が決まっている頃かもしれません。
(本人は苦しんでいるのかもしれませんが)そんな状況の中で、ひたすらゲームに没頭している姿を見ると、私は絶望的な気持ちになることがあります。
私が気を揉んでいる間、主人は自分の経験や社会情勢をもとに、次男がどのように生きていくのが良いか、冷静に考えていました。
社会から遠ざかっていた私とは違い、冷静に見極めようとする主人の姿を見て、頼もしさを感じたものでした。
次男が高校に入学した当時は、ちょうどコロナのまん延で企業が採用を控えていましたが、終息とともに若手の労働力不足が話題になってきました。
6年間も引きこもっていたので、正直「まともな会社への就職は難しい」と覚悟していました。
そんな中、主人が目をつけたのが「公務員」という道です。
民間企業が優秀な人材を確保するために給与を上げると、若者は民間企業に流れ、公務員志望者は減少する。
その結果、公務員試験の合格率が相対的に上がる――というのが主人の読みでした。
中でも高卒対象の公務員試験は、比較的倍率が低めという点にも注目していました。
夫婦で会話が少ない中でも、主人と次男のやり取りから、私はなんとなく状況を察していました。
「もしかして、前に進めるかもしれない」
そんな期待から、まだ合格してもいないのに、私はひと足早く希望を抱いてしまっていました。
実際に申し込んだのは「国税専門官」の試験です。
“税”と聞くと身構える方もいるかもしれませんが、志望者が少ないこと、次男が高校で簿記を学んでいたこと、
そして父親(主人)の職業が税金と深く関係していたこともあり、迷いはありませんでした。
一次試験は8月下旬。合格すれば二次試験に進むことになります。
ネットでの申込みは主人が行い、あとは本人が勉強するだけの状態でした。
しかし、次男はなかなか机に向かおうとせず、試験前日の夜になってやっと参考書を開いたのです。
「こんな状態で受かるはずがない」と思う一方、「もしかして…」という気持ちもありました。
結果は――一次試験合格。しかし二次試験で不合格。
これが、一昨年の初挑戦の結果でした。
そして昨年、2年目の受験。
「悔しさをバネに勉強するのでは」と思っていましたが、まったく勉強している様子はなく、
それでも一次試験には合格。
けれどまたもや二次試験で不合格となりました。
さすがに2回も落ちると、合格は難しいのかもしれないと思い始めました。
二次試験の結果をネットで調べたところ、「面接ランクが最低」であることが判明。
一次試験がどれだけ良くても、面接が最低ランクでは門前払いのようです。
この6年間、人と関わる経験がなかったことが、大きなハンデになっているのだと痛感しました。
そして、今年もまた受験の季節がやってきました。
年齢制限もあるため、受験できるのはあと1~2回が限界です。
心の傷が、表情や態度に表れてしまっているのかもしれない――
そう思うと、なんともやるせない気持ちになります。
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